胃・十二指腸潰瘍の原因のほとんどが、ヘリコバクター・ピロリ菌という細菌である。

 この度、自治医科大学大学院在学中からの研究成果に対し、日本消化器病学会奨励賞を受賞いたしました。この機会に、最近の胃腸疾患治療の進歩について連載で説明いたします。

ひどくなると吐血することもある胃・十二指腸潰瘍(以下、 潰瘍)。いったん治っても再発を繰り返しやすいのが問題でした。

以前、潰瘍はストレスが原因と考えられ、薬を飲んでいても再発したり、やむを得ず胃を切除したりしていました。

しかし、最近、その原因のほとんどがヘリコバクター・ピロリ菌(以下、ピロリ菌)という細菌であることがわかってきました。

 ピロリ菌を除菌することで潰瘍を治療できるばかりか、再発を抑えられること、かつ胃ポリープを縮小させたり、最近は胃癌の発生を抑えられるというデータが国内外で報告されてきました。

 ピロリ菌を除菌した胃・十二指腸は潰瘍を再発しにくくなりますから、除菌終了後はそれまで飲み続けてきた胃薬を止められることが可能になることも多く、医療費の削減にもつながります。


ピロリ菌がいるかどうかは、採血で抗体を測ることでほぼ診断がつき、三種類の薬を一週間内服すれば、九割弱は除菌が成功します。これからの消化管疾患の検査・治療は、早期の胃癌を発見する目を持ち、ピロリ菌の生態、感染像を熟知した消化器専門医師に受けるのが望ましいでしょう。治療に関わる細やかな相談や、遺伝子的検討を含めた最先端の知見につきましては我々にご相談ください。胃カメラが苦しくて怖いので、検査を受けないで胃癌が進行してしまったという不幸な人もいます。私たちは苦痛の少ない内視鏡検査を心がけております。苦痛少なく検査するには、いくつか教科書に書かれていないコツがあるのです。お知り合いに胃・十二指腸潰瘍の病気を持った方がいらっしゃったら、教えて助けてあげてください。


 そうしてこの郷土から、病気で苦しまれる方を1人でも減らしていただきたいと切に望んでおります。

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