胸やけに悩まれる方へ

「みぞおちから胸の下あたりが焼けつく」、「酸っぱい液体や苦い液体がのどまで上がってくる」、「胸がしみる」などの不快な症状で悩まれてはいないでしょうか。これらの症状は、胃酸や腸液が食道へ逆流することによって起こる食道の炎症が原因で、

「逆流性食道炎」という病気です。

食生活の欧米化、高齢化などで日本人に増加しつつある病気です。

 食道と胃のつなぎ目にあり、逆流防止弁のような働きをしている「食道括約筋」のしまりが年齢とともに悪くなると、胃酸が逆流しやすくなります。食道と胃のつなぎ目を締めている「食道裂孔」という穴から胃がはみ出す「食道裂孔ヘルニア」が生じると、さらに胃液が逆流しやすくなります。

また、腰の変形、肥満や妊娠などでも胃に圧力がかかり、逆流しやすくなります。

 治療としては、胃酸を抑えたり胃の運動機能を高める薬や、漢方を使用します。薬を飲んでいても症状が改善しないで悩んでいる

方は我々専門医にご相談ください。重症になると、食道が狭くなって食道が通らなくなったり、食道癌に進んだりする場合があるからです。

ひと昔前は、弱い薬をまず使い、効かなければ強い薬に変更するという「ステップ・アップ療法」が行われていましたが、現在は、「ステップ・ダウン療法」で、効果的な薬を最初に使い、早く患者様の症状を取り除いたほうが、生活の質が向上し、医療経済上も安くてすむ、ということが統計的に分かっています。

 私は、「逆流性食道炎が長い期間、十分に治療されずに続くと、食道の粘膜にバレット食道という異常な粘膜が出現してきて、

これが食道の腺がんの発生母地になる。このバレット食道の出現には、CDX2遺伝子という遺伝子が大きく関与する」ということを

発見し、米国消化器病学会で発表しました。バレット食道でCDX2遺伝子が発現している免疫染色の写真は世界初のものとなり、

この英文論文に対し、日本消化器病学会奨励賞を授与されました。私の米国での発表をもとに、フランスの研究医師らが、

「食道の細胞に胃酸をかけて培養すると、CDX2遺伝子が出現してくる」という研究結果を発表し、細胞レベルで私のデータを

証明してくれました。

 逆良性食道炎を治療中の患者様も、ただ薬を飲んでいるだけでは不十分で、消化器専門医の内視鏡検査を受け、バレット食道と

いう食道癌につながる変化が出てきてはいないかどうか、きちんと定期検査をする必要があります。

 不快な症状があれば早めに検査を受け、薬を飲んで重症化するのを予防し、健康な人生にして頂きたいと切に願います。

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