2/5
萎縮性胃炎とは?

慢性胃炎を「炎症の火が燃えた状態」にたとえるなら萎縮性胃炎は「燃え尽きた後」

にたとえられます。細胞が分裂する活力を失い、細胞の数が減少します。

粘膜がうすく脆弱(弱く)になります。

 腸上皮化生とは?

萎縮性胃炎が更に進むと細胞が変性します。

メカニズムの全貌はいまだ不明ですが胃の細胞があたかも腸の細胞のような性質に変わります(腸上皮化生)。この腸上皮化生の生えている粘膜を背景に、分化型の胃癌が発生すると言われています(Correaの説)。この状態(腸上皮化生が生えてきた状態)になった方は胃癌の危険性が高く、毎年、胃カメラを欠かすべきではありません。 私は、この腸上皮化生の段階の粘膜に、すでにさまざまな遺伝子異常が見られることをDNAチップという遺伝子解析装置を用いて見いだし、米国消化器病学会で講演して参りました。私はこれまで、この腸上皮化生の遺伝子異常、発生メカニズム、胃ポリープの遺伝子異常解析等をテーマとし、胃癌の早期診断、早期治療をライフワークとして診療・研究を行ってきました。腸上皮化生を発生させないようにすれば、胃癌を抑制できる可能性があるからです。こういった胃癌になる前の状態(前癌病変)を深く研究することで、人類が胃癌にかからないようにすることが何よりも大切だと考えたからです。

次へ

l戻るl